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カメラ初心者でも撮れる「エモいい写真」の撮り方 |Creator's Blog |プロカメラマンが撮影テクニックを紹介

カメラ初心者でも撮れる「エモいい写真」の撮り方

エモい写真を撮るのは実は簡単です。ある程度「捨てカット」を見越して「写ルンです」などでたくさん撮れば、きっと数枚は撮れるはず(笑

しかし、エモいい写真(エモい×いい写真)を撮りたい!と思った時は、少し話が違ってきます。なぜなら、そもそもエモい写真とはしっかり学んで撮るような写真ではないからです。旅行先だったり卒業式だったり、またはいつものなんでもない日常を何の気なしに撮ったようなスナップ写真である事が重要なんです。

そのため、これを言語化して解説するのはまた難しいことなのですが、写真をやっている以上はエモい写真を運ではなく狙って撮れて説明出来たらその方が絶対いいですよね!

任せてください!

今回はカメラ初心者の人でも玄人の方でも明日から使えるエモい写真の撮り方、コツをお伝えします!

そもそも「エモい写真」とは?

まず「エモい」とはemotionalが語源であり、懐かしい・切ないという気持ちや感傷的・哀愁的・郷愁的など感情が揺さぶられる状態をいう言葉で、2016年頃から若者中心に一般的に使われだした言葉だそうです。

特に写真との関係が深く、写真を見てエモい感情になる事が多いです。言い換えると、写真を見ることで当時を思い出して「懐かしい」と涙が出そうになるみたいな感じがそれに当たるかも知れません。

「思い出補正」という言葉があるように、自分たちが学生だった頃の写真や幼い頃の家族の写真など、自分自身の過去の経験を一気に思い出してエモいと感じることは多くの人が経験あるかと思います。リアルな思い出はその人だけのものなので他人は踏み込めない聖域ですが、全然関係のない他人の写真を見て「自分もこんな時代があったなー」と、過去の自身の経験を重ねる事で「エモい」を引き起こすことは出来ます。ここではそんな写真の撮り方を狙っていきます。

「エモい写真」の事例

多くの人が卒業式で歌ったことのある「旅立ちの日に」を聴くとエモい感情になるかと思います。ハッピーな感情じゃないけど嫌な感情でもない。胸が締め付けられるけど嫌じゃない。むしろいい。不思議な感情ですが、その名前のなかった感情を端的に「エモい」と言い表した若者は偉いです!ありがとう若者たちよ!

はい、余談が過ぎましたが、写真におけるエモいとはどんな特徴があるのか、僕なりに考えてみましたので実際に先日撮ってきたエモい写真を見ながら説明していきます。

いきなりですが、次の写真はどちらがエモいと感じますか?

A
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B
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ある一点を除いては撮影機材も色調整も同じなのでどちらもそれなりにエモくなってしまっていますが(笑

Aと答えて頂けたら狙い通りです!AとBの違いはズバリ焦点距離

Aは24mmで近くから、Bは105mmで遠くから撮っています。通常の写真の正攻法としては105mmで撮ったBの写真の方が正解となります。

24mmでこれだけ近づくと写真が歪むので、顔が大きく写ってしまったり、見て分かる通り背景の地平線が湾曲しているかと思います。それを避けるためには大体50mm以上で撮るといいのですが、あえて広角で撮ることによって、親しい距離感、その場のリアルな空気感、また適当に撮ったスナップ感のある写真を表現しています。

カメラやレンズの特性を理解して正攻法を壊して遊ぶ。そういった楽しみ方です!

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適当に撮ったスナップ感を出すといった意味でピントが合っていない、ブレている、水平が取れていない、ばっちりキメてない不意な写真なんかは重要な「エモい」要素になってきます。これは特におしゃれなファッション誌なんかを見ると、ポートレートであってもあえてピントを外したりブラしたり水平を崩したり、いくらでもあります。

要するにミスではなく、狙えばプロが使うテクニックの一つです。

夕方になってきたので街が一望できる丘に移動しました。

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後ろに写る団地とか、あの日と同じ空、風景そういった懐かしい要素を重ねています。この日は曇り空で夕日は見えなかったのですが(色調整で空の表情を強調していますが実際にはかなり雲でした)、チャンスがあれば「夕陽の逆光」はかなりおすすめのエモいトリガーですよ!(笑

とにかく、この風景の空気感や匂いを丸ごと伝える事が大切です。

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今回のモデルさんのゆかさんに教えてもらったロケーションで、初めて来たけど何故か懐かしいまさに今回のテーマにもぴったりの素晴らしい場所でした。

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最後に日も落ちてきたので、ストロボ直当ての硬くていかにも「フラッシュ使いました!」という写真も撮りました。実際にはまだ夕方ですが、カメラ側の設定はかなり露出アンダー、夜に撮ったようにしました。

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それと最後に今回の設定と写真の加工についてですが、色調整でフィルムカメラで撮ったようなザラついた感じにしました。粒子マシマシです。(笑

設定は背景をぼかし過ぎないようにf5.6からf8あたりで撮っています。あまりぼかしてしまうと最近のカメラや今っぽさが出てしまうからです。

まとめると

1、広角で寄って撮るべし!
2、ピント外し、ブレブレ、水平崩しを上手く使うべし!
3、不意な瞬間を撮るべし!
4、どこか懐かしい風景や背景を選び、空気感や匂いを丸ごと撮るべし!
5、夕日の逆光を狙うべし!
6、フラッシュ直あてで撮るべし!
7、絞りはあまり開放せずf5.6以上で撮るべし!
8、フィルムカメラっぽい色調整でイメージを寄せるべし!

こんなところでしょうか。何十年か経ったらきっと今っぽいのがエモくなるんでしょうけど。(笑