『伝わる写真』の撮り方
初めまして!
東京を拠点にプロのカメラマンをやっている向山裕太です。
このブログをご覧頂きありがとうございます!
写真に興味のある方の暇潰し+αで少しでもお役に立てたら幸いです。
写真はメッセージ性が大切
突然ですが、僕はパッと見て何も伝わってこない写真にはあまり価値がないと思っています。しかしながら、街に溶け込む広告写真やWEBの記事サイトなどでも、「何を伝えているのだろう?」と直感的に理解できない写真を目にすることもあり、もったいないと思うことも多いです。
写真は何かを伝える為にあり、その情報伝達の速さが一番の魅力です。通常、人が日々の生活の中で写真を見るとき、1秒にも満たない時間であることが多いでしょう。その0コンマ何秒の時間で、目で見た情報を簡潔に頭の中で処理しています。0コンマ何秒で判断した結果、気になった場合のみ、もう少し時間を割いてその写真を見てもらえるのです。
なんだか人の印象の90%は出会った数秒で決まる!みたいな話に似ていますね。第一印象で相手に興味を持ってもらえたなら、仕事・友人・恋愛であってもその人との関係性は次のステージへと進めると思います。
写真も同じです。例えば、コンビニでたまたま手にとったファッション誌を見ている時、ペラペラとページをめくっていて手が止まる瞬間ってあると思います。「モデルさんがかわいい(かっこいい)」や「このアイテムは欲しいな」と思った時などです。何かしら気になった時に、そこでページをめくる手を止めて気になった所にグッと注目します。すると、そのかわいいモデルさんの情報だったり、身につけているアイテムの情報だったりをさらに詳しく知ろうという意識に変わってきます。
つまり写真を通して何か伝えたい事がある時に最初に考えなければいけないことは、「目を止めてもらうために、興味を持ってもらうこと」です。そこから、伝えたいメッセージをより詳しく伝えていくという順番です。
あなたが「たまたま手に取った」と思っていたファッション誌は、あなたのようなターゲットにウケるであろう素敵なモデルさんを表紙にして、まずはあなたにその雑誌を「手に取らせていた」ということです。
良い写真とは、一度わかりやすく注目させてから、伝えたいことを伝えるための「仕掛け」をしているものです。「一枚の写真で興味を引いた上で、メッセージも伝えるのは難しいそうだなー」と思ったかもしれません。ですが、安心してください。そんなに難しいことではなく、一枚の写真でなくとも「複数枚の写真」でストーリーを伝えることもできますし、「文字」で伝えたいことを補足してあげるのもひとつの手です。
見せたい順番に合わせて視線をコントロール
さて、ここで一枚写真を見ていきましょう。
この写真を見てまずどこを見たでしょうか。おそらくほぼ全員が自撮りをしている女の子ではなく、スマホの画面に目が行ったはずです。もっと言えば画面の中の女の子の顔を見たはずです。その次に、少し右に目が行き、画面が割れているなーなどと思ったのではないでしょうか。笑
実はこれは撮る側が被写界深度(f値とも言い、背景のぼかし具合と明るさを変えるカメラの設定のこと)による視線誘導の仕掛けをしていることにあります。まずは見るべき箇所を意図的に限定してあげて、視線を誘導した先に少し細かい文字などがあるとグッと注目します。そこに伝えたいメッセージを置いておきます。
おてんばな女の子、割れている画面、流行りの自撮りアプリ、というジャンルの話題でしたら使える写真かもしれません。
吹き出しで適当な文字を入れてみるとまた新たなストーリーができあがったりします。
このように見る人の視線を誘導して見せる方法は他にもたくさんあります。例えば、構図であったり光と影の使い方だったり、また背景の選び方や撮影後のレタッチなどです。
このブログでは写真を通して「伝えるための写真」とは何か。僕なりにポイントを解説しながら皆さんと一緒に考えていけたら幸いです。
今回はここまでにします。では!